相続遺言判決実例集…(最判・昭和23年11月6日民集2巻12号397頁)


  • (最判・昭和23年11月6日民集2巻12号397頁)
 

(最判・昭和23年11月6日民集2巻12号397頁)


 (最判・昭和23年11月6日民集2巻12号397頁)

「改正前の民法第966条の規定が本件に適用のあることは言うまでもないところである,而して右規定によると家督相続回復の請求権は家督相続人又はその法定代理人が相続権侵害の事実を知った時から5年間之を行わないときは時効に因り消滅す,相続開始の時から20年を経過したとき亦同じとなっているのである,そしてこの後段の20年の時効も亦時効として一般時効に関する規定に従い中断せられることもあり又完成した時効の利益を地葉することもできるのであるが唯この20年の時効の進行については一般の消滅時効と多少差異があるのである,一般の消滅時効は権利が発生してそれが行使できる時から進行するのである,これに反し前記法条によると相続開始の時をもって20年の時効の起算点としているのであるから相続開始後相続権の侵害せられるまでの期間は家督相続回復の請求権はまだ発生していないのであって従ってこれを行使することはできないに拘らずその消滅時効は相続開始の時から進行を始め右の期間は当然に時効期間に算入せられることになるのである,そしてこのことは相続権の侵害が相続開始後20年の期間内に行われた場合に限るべきではなく,相続権の侵害が20年の期間後に行われた場合も亦同様に解すべきである,蓋し法律が20年の長期時効を認めたのは家督相続に関する争は相続開始後20年以上の長年月を経た後は20年の時効で打切ることが家督相続の性質上からも又公益上からも必要であるという趣旨に出でたものであるから若しこれを相続権の侵害が20年以後行われた場合には長期時効の適用がないとするならば家督相続の争が20年以上の長年月に渉り行われる結果になり法律がこの時効を認めた趣旨に背馳することになるのである。」

 


 

 


 

 
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