相続遺言判決実例集…(岡山家審・平成2年8月10日家月43巻1号138頁)


  • (岡山家審・平成2年8月10日家月43巻1号138頁)
 

(岡山家審・平成2年8月10日家月43巻1号138頁)


 (岡山家審・平成2年8月10日家月43巻1号138頁)

「高校を中退した以後の相手方は、親である申立人との協調ができず,自室にこもって,勝手に通信販売をとおして物品を職人して,結果的にその代金を申立人をして支払わしめ,金品等の持ち出しを繰り返したり,相手方に意見しようとする申立人らに暴行をふるったりし,その後申立人の家を勝手に飛び出し,1年もして突然申立人方へ戻ってくるや,会社の遣い込み金の弁償をさせ,また,相手方の行状を気にした申立人に交通違反の罰金の支払いや自動車の引き上げを負担させる等している。また,昭和62年ころから家出し,自分でサラ金業者や以前勤務していた会社から借りた借金の返済等をしないまま,申立人と何らの連絡も取らず,その所在すら分からない状態が続いている。以上のような相手方の行為により,申立人は金銭的な出損を余儀なくされたこともさることながら,甚大な精神的な苦痛を受けたものといえる。これらの行為は,相手方の年齢からみて,もはや申立人の教育上の問題を理由として看過すべき行為とは思われないし,申立人が自ら招いた結果ともいうことはできない。相手方においても,自らの行為が申立人らを苦しめ,申立人らの生活に多大な迷惑を及ぼすことを十分認識して行動しているものといわざるをえない。しかも,自らが申立人方を無断で飛び出し,何らの連絡もとっていないのであるから,相手方には,申立人らとの親族関係を維持し,互いに親族,親子として協力していこうという姿勢は全くみられない。このような相手方の一辿の行為が存在する以上,仮に相手方が申立人の普通養子であったとしたら,民法814条1項3号にいう縁組を継続しがたい重大な事由があるというべきであって,申立人と相手方の間の家族的共同関係あるいは相続的共同関係が相手方の行為によって破壊されているとみるのが相当である。したがって,本件においては,民法892条に定める被相続人に対する虐待,重大な侮辱又はその他著しい非行があるというべきである。」

 


 

 


 

 
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