相続遺言判決実例集…TOPPAGE


  • 相続遺言判決実例集
  • (秋田家大館支審・昭和43年4月23日家月20巻10号84頁)
 

TOPPAGE


 相続遺言判決実例集

相続と遺言についての判例実例です。

 

(秋田家大館支審・昭和43年4月23日家月20巻10号84頁)


 (秋田家大館支審・昭和43年4月23日家月20巻10号84頁)

「相手方は,申立人の長男として大正11年3月11日に出生し,終戦後復員してから精神分裂病に罹患し秋田,弘前,大館の病院に長期にわたり入院し,昭和35年1月12日禁治産宣告をうけた。現在自宅に戻り申立人らと同居しているが、幻聴、妄想があって,時々申立人らに対して手で叩く程度の暴行に及ぶことがある。しかし,そのために申立人らが医師の治療をうけたことはない。相手方は,兇暴性を示す都度入院させられて来たが,入院すればこれがなくなる。その病状は治ゆの見込はなく,兇暴性については人格荒廃の状態に達すると段々に薄れて来るとのことである。してみると,申立人の推定相続人たる相手方が,申立人に暴行に及ぶのは,精神分裂病による心神喪失の常況にあるときの行為であって,かような行為は相手方の責に帰すべきものでないことは当然であり,民法892条にいう虐待,重大な侮辱,その他の著しい非行とは,被相続人に対して故意に暴行などに及んだ場合をいうのであるから,廃除原因にあたらないことは明白である。(むしろ申立人としては、入院など適切な処圃をとるべきであり,しかも禁治産者である相手方の将来を考えれば廃除というような遺留分の権利を奪うような方法は許されるべきでない。)」

 


 

 
相続遺言判決実例集